ネットワークプランニング編集部

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「ランチタイムがいちばん忙しいのに、昼に入れるパートが足りない」「募集をかけても主婦・主夫の応募がまったく来ない」——ランチ営業のある飲食店の店長・オーナーなら、この悩みは切実なのではないでしょうか。学生バイトは昼間は学校、フリーターは夜シフト希望が多く、平日昼の穴を埋められる人材はなかなか見つかりません。

ですが、応募が来ない原因は「主婦・主夫が働きたがらないから」ではありません。多くの飲食店が、学生バイト向けに作った求人をそのまま出しているために、主婦・主夫層に刺さっていないだけなのです。昼の時間帯こそ、主婦・主夫が最も活躍しやすい時間帯です。

この記事では、東京で20年にわたり飲食・サービス業を中心に求人広告を扱ってきた代理店の視点から、ランチタイムのパートが集まらない飲食店が、主婦・主夫を採用するためのコツをお伝えします。主婦・主夫が本当に重視している条件を調査データで確認したうえで、勤務時間帯・扶養内・通いやすさという3つの軸に沿った求人設計の方法を、2025年に変わった「年収の壁」の最新情報や相談事例を交えて具体的に解説します。

この記事でわかること

  • ランチタイムのパートが集まらない構造的な理由
  • 主婦・主夫がパート先に本当に求めている条件(調査データ)
  • 勤務時間帯・扶養内・通いやすさで組み立てる求人設計の具体策
  • 2025年に動いた「年収の壁」を求人にどう反映するか
  • 時給を上げずに主婦の応募を集めた飲食店の実例

なぜランチタイムのパートは集まらないのか

平日昼という時間帯は、そもそも動ける求職者の層が限られています。学生は授業、フリーターや若手は夜勤務を希望する人が多く、昼だけを担ってくれるのは主婦・主夫層が中心になります。つまりランチタイムの採用は、実質「主婦・主夫の採用戦」なのです。

ランチタイムに人手が足りず一人で配膳に追われ困る飲食店の店長

ところが、多くの店の求人は「元気なホールスタッフ募集!」「まかないあり・未経験歓迎」といった、学生や若いフリーターを想定した文言のまま出されています。勤務条件も「週4日以上」「土日勤務できる方」など、家庭を持つ主婦・主夫には応募しづらいものが並びがちです。これでは、昼に働きたい主婦・主夫の目に留まっても「自分向けではない」と判断されてしまいます。

よくある落とし穴

「昼のパートが来ない」と悩む店の多くは、1本の求人で学生も主婦もフリーターも全員に来てほしいと欲張っているケースです。誰にでも向けた求人は、結局誰にも刺さりません。ランチ帯を埋めたいなら、原稿もターゲットも「主婦・主夫」に絞り込む必要があります。

では、狙うべき主婦・主夫層は、パート先を選ぶときに何を重視しているのでしょうか。まずは求職者側の調査データから、彼らの本音を確認しておきましょう。

主婦・主夫がパート先に本当に求めている条件

主婦・主夫がパートを選ぶとき、最優先するのは時給ではありません。家庭やライフスタイルと両立できるかどうか——つまり「働きやすさ」が判断の中心にあります。実際の調査データを見てみましょう。

参考

主婦・主夫の求人サイト「しゅふJOB」の調査によると、仕事探しで重視する条件は「勤務時間」87.0%、「勤務地」85.6%、「勤務日数」76.4%が上位を占め、「給与」54.1%を大きく上回りました。さらに「働く人の雰囲気」44.0%、「扶養枠内で調整できる」33.4%、「残業がない」22.2%と続きます。(出典:しゅふJOB 主婦・主夫1214名に聞いた仕事探しで重視するポイント

注目すべきは、「勤務時間」「勤務地」「勤務日数」という働き方の柔軟さに関わる条件が、給与よりもはるかに上位に来ている点です。時給を多少上げても、勤務時間や日数の条件が合わなければ応募にはつながりません。逆に言えば、時給を上げなくても、働き方の条件を主婦・主夫に合わせるだけで応募は増やせるということです。

主婦・主夫が仕事探しで重視する条件のランキング(勤務時間・勤務地・勤務日数が給与を上回る)を示した図解
順位重視する条件割合
1位勤務時間(時間帯)87.0%
2位勤務地(通いやすさ)85.6%
3位勤務日数76.4%
4位給与(時給)54.1%
5位働く人の雰囲気44.0%
6位扶養枠内で調整できる33.4%

このデータから見えてくる主婦・主夫のニーズは、大きく3つに整理できます。それが「勤務時間帯」「扶養内」「通いやすさ」です。次章では、この3つを求人にどう落とし込むかを具体的に解説します。

主婦・主夫採用を成功させる3つの条件設計

調査で上位に来た条件は、いずれも時給を上げなくても、求人条件と原稿の見せ方だけで整えられるものばかりです。ランチタイムのパートを集めるために押さえるべき3つの軸を、順に見ていきましょう。

主婦・主夫が集まる求人の3条件(勤務時間帯・扶養内・通いやすさ)を示した図解

①勤務時間帯:ランチ帯・短時間・少日数で設計する

主婦・主夫が最優先する「勤務時間」は、飲食店のランチ営業と実はぴったり合います。子どもを送り出したあとの10時〜15時は、まさに家庭を持つ人が働きやすいゴールデンタイムです。「週4日以上・土日必須」ではなく、「週2日・1日3時間からOK」「平日ランチのみ歓迎」と打ち出すだけで、応募できる人の数は一気に増えます。

「そんな短時間で来られても困る」と感じるかもしれませんが、ランチのピーク2〜3時間だけ人が増えれば回る、という店は多いはずです。長時間フルで働ける1人を探すより、ピーク帯だけ入れる短時間パートを複数人そろえるほうが、結果的に安定してシフトが埋まります。

ここがポイント

「週◯日以上」「◯時間以上」という必須条件を1つ緩めるたびに、応募できる主婦・主夫は増えます。まず「本当に外せない条件」だけを必須にし、それ以外は「相談可」にしておくと、母集団が大きく広がります。

②扶養内:2025年に動いた「年収の壁」に配慮する

主婦・主夫のパート採用で避けて通れないのが「扶養の範囲内で働きたい」というニーズです。ここは2025年の税制改正で大きく動いた部分なので、最新情報を押さえておきましょう。「扶養の壁」を理解している店は、それだけで求職者から信頼されます。

参考

2025年の税制改正で、所得税がかかり始める「103万円の壁」は基礎控除・給与所得控除の見直しにより実質的に引き上げられ、配偶者控除を満額受けられる本人の年収上限は103万円から123万円へ拡大しました。住民税の非課税ラインも100万円から110万円に。一方で、社会保険の扶養から外れる「130万円の壁」は引き続き残ります。(出典:しゅふJOB 扶養内パートはいくらまで?年収の壁を解説

求人票に「扶養内勤務OK」と書くだけでも効果はありますが、さらに一歩進めて「扶養の範囲で働きたい方はシフトを調整します」「年末の勤務調整も相談OK」と添えると、主婦・主夫の安心感は格段に高まります。年収の壁を意識してシフトを組んでくれる店は、それだけで「働きやすそう」と選ばれるのです。

注意点

年収の壁は税制・社会保険で基準が異なり、改正で頻繁に変わります。求人に具体的な金額を断定的に書くと、後で「話が違う」というトラブルの原因になります。金額は「相談OK」にとどめ、詳細は面接で本人の希望を確認するのが安全です。

③通いやすさ:徒歩・自転車圏と家庭事情への配慮を明記する

調査で2位だった「勤務地」は、主婦・主夫にとって「通いやすさ」を意味します。送り迎えや家事の合間に働くため、通勤に時間をかけられないのです。「◯◯駅から徒歩5分」「自転車通勤OK」「◯◯小学校の近く」など、生活圏との近さが伝わる情報を必ず入れましょう。

あわせて、「学校行事の日はお休み相談OK」「急なお子さんの発熱にも対応します」といった家庭事情への配慮を書いておくと、応募のハードルは大きく下がります。主婦・主夫は「休みたいときに休めるか」を強く気にしています。ここに配慮する姿勢を見せられる店は、他店との差別化ができます。

  • 勤務時間は「ランチ帯・週2〜・1日3h〜」など短時間・少日数で打ち出す
  • 「扶養内相談OK」「年末の勤務調整OK」を明記する
  • 最寄り駅からの距離・自転車通勤可・生活圏の目印を書く
  • 「学校行事・急な休み相談OK」で家庭事情への配慮を示す

【相談事例】時給据え置きでランチ主婦の応募を集めた定食店

ここで、私たちが実際にご相談を受けたケースをご紹介します。ランチタイムの人手不足に悩んでいた、ある定食店の店長の例です。

ランチタイムのパートが集まらず求人広告代理店に相談する定食店の店長のイラスト

ランチが一番忙しいのに、昼に入れる人が足りません。求人は出しているのですが、来るのは夜シフト希望の学生ばかり。時給を上げる余裕もなくて、どうすればいいか……。

求人を拝見すると、原稿は「ホールスタッフ大募集!まかないあり・フリーター歓迎」という、明らかに若い層に向けた内容でした。勤務条件も「週4日〜・土日勤務できる方歓迎」。これでは、平日昼だけ働きたい主婦・主夫は「自分は対象外だ」と感じてしまいます。時給ではなく、ターゲットと見せ方がずれていたのです。

時給はそのままで大丈夫です。ターゲットを「近所の主婦・主夫」に絞り、ランチ帯・週2〜・扶養内相談OK・自転車通勤OKを前面に出しましょう。写真も主婦スタッフが働く様子に差し替えます。

そこで時給は据え置いたまま、タイトルを「平日ランチのみ/週2・3h〜OK/扶養内相談OKの定食店ホール」に変更。本文にも「10〜14時のランチ帯」「自転車通勤OK」「学校行事の休み相談OK」を明記し、笑顔で働く主婦スタッフの写真を追加しました。すると、掲載から2週間で主婦・主夫から5件の応募が入り、2名の採用につながりました。時給は1円も上げていません。

この事例の教訓

ランチのパートが来ないのは、主婦・主夫が働きたくないからではありません。多くの場合、原稿が「若い層向けのまま」で、主婦・主夫に「自分向けだ」と伝わっていないだけです。ターゲットを絞り、条件と見せ方を合わせれば、時給を上げなくても応募は集まります。

主婦・主夫に届く求人原稿・タイトルの作り方

主婦・主夫に応募してもらう原稿の条件は、「自分向けだ」と一目でわかること。ありがちな原稿と、主婦・主夫向けに書き換えた原稿を比べてみましょう。

ありがちな原稿(主婦に届かない)

  • タイトル:「ホールスタッフ大募集!」
  • 時間:「週4日以上・土日勤務できる方」
  • 仕事:「ホール全般」
  • 写真:料理・店内のみ
  • 訴求:まかない・フリーター歓迎

書き換え後(主婦に届く)

  • タイトル:「平日ランチのみ/週2・3h〜/扶養内相談OK」
  • 時間:「10〜14時・週2日からOK/シフト相談可」
  • 仕事:「配膳・かんたんな盛り付けから。未経験OK」
  • 写真:笑顔で働く主婦スタッフ
  • 訴求:扶養内・自転車通勤OK・学校行事の休みOK

ポイントは、時給をいじらずに「誰に・何を・どう見せるか」を主婦・主夫向けに具体化しただけ、という点です。この書き換えは、次の手順で進められます。

来てほしい人を「主婦・主夫」に絞る

ランチ帯を埋めたいなら、狙う相手を「近所の主婦・主夫」に決めます。全員向けの原稿は、結局誰にも刺さりません。

3条件を原稿の先頭に置く

勤務時間帯(ランチ帯・短時間)・扶養内・通いやすさの3つを、タイトルと本文の冒頭に必ず入れます。

写真を「主婦が働く様子」に差し替える

同世代のスタッフが笑顔で働く写真を載せると、「自分もここで働けそう」というイメージが湧きます。

応募後すぐに連絡できる体制を整える

主婦・主夫は複数の求人を比較しています。当日〜翌日に連絡を返し、取りこぼしを防ぎましょう。

なお、時給以外に見直せる要素をもっと詳しく知りたい方は、時給を100円上げれば応募は来る?アルバイトが集まらない飲食店の現実もあわせてご覧ください。時給に頼らず応募を集める9つの要素を、原稿のビフォーアフター付きで解説しています。

主婦・主夫のパート採用でよくある失敗パターン

せっかく主婦・主夫を狙っても、いくつかの落とし穴にはまると応募も定着も遠のきます。特に多い失敗パターンを4つ挙げておきます。

やりがちな4つの失敗

①学生・フリーター向けの原稿を使い回している/②「扶養内OK」と書きながら、実際は年末にシフトを増やすよう頼んでしまう/③面接や体験の時間を夜しか設定せず、昼に来られる主婦・主夫を取りこぼす/④応募への返信が数日後になり、他店に決められてしまう。どれも、主婦・主夫の生活リズムを想像できていないことが原因です。

これらは、少し意識するだけで避けられます。次のチェック項目を採用フローに組み込んでおきましょう。

  • 求人原稿は「主婦・主夫」だけに向けて書いているか
  • 「扶養内相談OK」と書いたなら、実際に調整に応じる運用になっているか
  • 面接・体験の時間を昼(ランチ後の14〜16時など)に設定しているか
  • 応募には当日〜翌日に連絡を返しているか

応募が来ない原因を時給・シフト・写真・媒体まで含めて網羅的に確認したい方は、シリーズの親記事飲食店のアルバイト求人に応募が来ない!店長目線で考える10の原因もご覧ください。本記事の「主婦・主夫向け設計」を含む10の原因を、店長目線で整理しています。

飲食店の主婦・主夫パート採用に関するよくある質問

Q「扶養内OK」は求人にどう書けばいいですか?

A

「扶養内勤務OK」「扶養の範囲でシフトを調整します」「年末の勤務調整も相談OK」と書くのがおすすめです。年収の壁は税制・社会保険で基準が異なり改正も多いため、具体的な金額は断定せず「相談OK」とし、詳細は面接で本人の希望を確認しましょう。

Q主婦・主夫を集めるには、やはり時給を上げないと無理ですか?

A

いいえ。調査でも主婦・主夫が重視するのは給与より「勤務時間・勤務地・勤務日数」です。時給を上げなくても、ランチ帯・短時間・扶養内・通いやすさといった条件を整え、原稿と写真を主婦・主夫向けに変えるだけで応募は増やせます。

Q短い時間・少ない日数でも本当に応募は来ますか?

A

むしろ短時間・少日数のほうが主婦・主夫は応募しやすくなります。「週2日・1日3時間からOK」と間口を広げ、ランチのピーク帯だけ入れる人を複数そろえるほうが、長時間働ける1人を探すより現実的にシフトが埋まります。

Qどこに求人を出せば主婦・主夫に届きますか?

A

主婦・主夫は生活圏の中で仕事を探す傾向が強く、地域密着で主婦向けに強い媒体や、通勤圏を絞って配信できる媒体が有効です。店の立地・予算・狙う層によって最適な媒体は変わるため、迷う場合は求人広告代理店に相談すると失敗が減ります。

ランチタイムのパートが集まらないのは、主婦・主夫が働きたくないからではなく、求人が彼らに向けて作られていないから。勤務時間帯・扶養内・通いやすさの3条件を求人に落とし込めば、時給を上げなくても応募は集められます。

  • ランチ帯の採用は実質「主婦・主夫の採用戦」。学生向け原稿の使い回しをやめる
  • 主婦・主夫が重視するのは給与より「勤務時間・勤務地・勤務日数」。3条件(勤務時間帯・扶養内・通いやすさ)で設計する
  • 2025年に動いた年収の壁に配慮し、原稿・タイトル・写真・連絡体制を主婦・主夫向けに整えれば応募は増える

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