ネットワークプランニング編集部

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「時給を上げれば応募は来るのかもしれない。でも、これ以上上げたら利益が出ない」——アルバイトが集まらない飲食店の店長・オーナーなら、一度はこの葛藤に突き当たったことがあるのではないでしょうか。向かいの大手チェーンは時給1,300円、うちは1,150円。求人を出しても反応がなく、つい「あと100円上げるしかないか」と考えてしまう。

ですが、結論からお伝えします。時給を100円上げても、応募が思ったほど増えないケースは非常に多いのです。アルバイトが集まらない原因は時給だけではなく、勤務時間・シフト・まかない・写真・原稿の見せ方など、時給以外の要素に潜んでいることが少なくありません。

この記事では、東京で20年にわたり飲食・サービス業を中心に求人広告を扱ってきた代理店の視点から、「時給を100円上げれば応募は来るのか」という問いに正面からお答えします。時給アップのコストを具体的に試算し、調査データで「応募の決め手は本当に時給なのか」を検証したうえで、給与に頼らずに応募を増やす求人原稿の作り方までお伝えします。

この記事でわかること

  • 時給を100円上げると、年間でいくらコストが増えるのか(試算)
  • 調査データが示す「アルバイトが応募先を決める本当の決め手」
  • 時給以外に応募を左右する9つの要素と、その見直し方
  • 給与に頼らない求人原稿の作り方(ビフォーアフター付き)

時給を100円上げれば、本当に応募は来るのか

時給を上げれば応募が増える、というのは一見あたりまえに思えます。しかし現場では「上げたのに変わらなかった」という声のほうがむしろ多いのです。なぜなら、求職者はあなたの店の時給を「単体」ではなく、近隣の他店とセットで比較しているからです。

たとえば1,150円を1,250円に上げても、周辺の相場が1,250〜1,300円なら「並んだ」だけで、抜きん出たわけではありません。求職者にとっては依然として「普通の時給の店」であり、100円のアップが応募ボタンを押す決め手になるとは限らないのです。時給は上げやすいぶん、他店もすぐ追随できる——差がつきにくい要素だといえます。

時給を上げるべきか電卓と時給表を前に悩む飲食店の店長

よくある落とし穴

「時給を上げたのに応募ゼロ」の背景には、そもそも求人が狙った層に表示されていない・原稿から働くイメージが伝わっていないという別の問題が隠れていることがほとんどです。時給は原因の一部にすぎないのに、そこだけ動かしても結果は変わりません。しかも一度上げた時給はなかなか下げられず、コストだけが固定費として残ります。

だからこそ、時給を上げる前に「本当に時給が原因なのか」を切り分ける必要があります。まずは、時給を100円上げることが経営にどれだけ響くのか——コストの面から具体的に見ていきましょう。

時給を100円上げると、いくらコストが増えるのか

「たった100円」と思われがちですが、時給は1人・1時間あたりの金額です。人数と時間を掛け合わせると、年間では想像以上の金額になります。感覚ではなく数字で把握しておくことが、冷静な判断の第一歩です。

仮に、1人あたり1日5時間・月20日勤務のアルバイトが5人いる店で、全員の時給を100円上げたとします。この場合の増加コストは次のようになります。

時給を100円上げた場合の年間コスト増加を示した試算の図解
単位計算増加コスト
1人・1日100円 × 5時間+500円
1人・1か月500円 × 20日+10,000円
1人・1年10,000円 × 12か月+120,000円
5人・1年120,000円 × 5人+600,000円

「100円」が、5人・1年では約60万円の固定費増になります。これは求人広告を数回出せる金額です。しかも、時給を上げても応募が増える保証はありません。つまり時給アップは、効果が読みにくいわりにコストが確実に増える——投資対効果の面では、実は分の悪い一手なのです。

そして重要なのは、そもそもアルバイトが応募先を決める「決め手」は、必ずしも時給ではないという事実です。求職者側の調査データを見てみましょう。

参考

マイナビ「アルバイト就業者調査(2025年)」によると、アルバイト先を決めた決め手は「応募後にすぐ企業から連絡がきた」が42.3%で最多、次いで「すぐに合否通知の連絡が来た」32.3%、「勤務条件の詳細を教えてくれた」28.0%でした。また、アルバイト探しの必須条件は「自宅から近い」47.5%、「シフトの融通がきく」45.0%が上位です。(出典:マイナビキャリアリサーチLab アルバイト就業者調査2025

決め手の上位に並ぶのは、時給そのものではなく「連絡の速さ」「シフトの融通」「通いやすさ」です。時給に100円上乗せするより、こうした要素を整えるほうが、応募と採用に効くケースが多いのです。では、時給以外に何を見直せばよいのか。次章で体系的に整理します。

応募を左右するのは時給だけではない 見直すべき9つの要素

アルバイトの応募は、時給という1点ではなく、複数の要素の組み合わせで決まります。求職者は求人を見た瞬間に「ここで働く自分」を想像できるかどうかで、応募するかを判断しています。時給以外に応募を左右する要素を9つに整理しました。

時給以外に応募を左右する9つの要素(勤務時間・シフト・距離・仕事内容・まかない・スタッフ構成・雰囲気・写真・タイトル)の図解

①働きやすさに関わる要素(勤務時間・シフト自由度・距離)

調査でも上位に来た「シフトの融通」「自宅からの近さ」は、時給以上に応募を左右します。「土日フル必須」「週4日以上」といった条件を必須にしていると、それだけで応募できる人が激減します。逆に「週1日・1日3時間からOK」「テスト期間・行事は相談可」と打ち出すだけで、母集団は一気に広がります。

距離は変えられませんが、「◯◯駅から徒歩3分」「自転車通勤OK」など通いやすさの情報を明記するだけで、近隣在住者の応募ハードルは下がります。働きやすさは、お金をかけずに原稿の書き方だけで改善できる領域です。

ここがポイント

「必須条件」を1つ減らすたびに、応募できる人は増えます。本当に外せない条件と、「あれば嬉しい」程度の条件を切り分け、後者は必須にしないだけで応募数は変わります。

②仕事のイメージに関わる要素(仕事内容・まかない・スタッフ構成・雰囲気)

飲食未経験の求職者は「自分にできるだろうか」「馴染めるだろうか」という不安を強く持っています。「ホールスタッフ募集」とだけ書かれていても、何をするのか、どんな人が働いているのかが伝わりません。「注文受け・配膳が中心」「まずはドリンク作りから」など、具体的な作業と未経験フォローを書くことで、不安が期待に変わります。

まかないは飲食店ならではの強力な武器です。「人気メニューが無料」「メニューにない特製まかない」のように具体的に書くと訴求力が増します。また「20代中心のアットホームな店」「主婦さんが活躍中」といったスタッフ構成や雰囲気の情報は、「自分と似た人がいる」という安心感につながります。

③求人の見せ方に関わる要素(求人写真・求人タイトル)

求職者は求人をまず「写真」と「タイトル」で判断します。料理写真や無人の店内写真だけでは、働くイメージは湧きません。実際に働くスタッフの笑顔、厨房やホールの様子、まかないの写真に差し替えるだけで、クリック率と応募率は大きく変わります。応募前に下見をする人が多い飲食業では、写真で伝わる情報量が特に重要です。

タイトルは検索結果で最初に見られる「看板」です。「ホールスタッフ募集」だけでは他店に埋もれます。「週1・3h〜OK/まかない無料/未経験歓迎の居酒屋ホール」のように、特徴と歓迎条件を具体的に入れると、開かれる回数が変わります。

9要素のまとめ

応募を左右するのは①勤務時間 ②シフト自由度 ③距離 ④仕事内容 ⑤まかない ⑥スタッフ構成 ⑦雰囲気 ⑧写真 ⑨タイトルの9要素。多くは時給を1円も上げずに、原稿と写真の見直しだけで改善できます。時給を触るのは、この9つを整えてからでも遅くありません。

【相談事例】時給を据え置いたまま応募が集まったカフェ

ここで、私たちが実際にご相談を受けたケースをご紹介します。時給を上げるべきか悩んでいた、あるカフェの店長の例です。

時給を上げるべきか悩み求人広告代理店に相談するカフェの店長のイラスト

近隣のチェーンは時給1,250円、うちは1,120円。求人を出しても1か月応募ゼロで、もう時給を上げるしかないと思っています。でも、これ以上は正直きつくて……。

お話を伺うと、時給は相場から極端に低いわけではありませんでした。問題は待遇よりも、求人写真が商品のドリンク写真だけ、原稿も「ホールスタッフ募集・未経験歓迎」の一文だけで、どんな人が働く店なのかがまったく伝わらない点にありました。時給ではなく「見せ方」が止まっていたのです。

時給を上げる前に、原稿を作り直しましょう。ターゲットを近隣の学生に絞り、シフトの融通・まかない・スタッフの雰囲気を前面に。写真もスタッフの笑顔に差し替えます。

そこで、時給は1,120円のまま、ターゲットを「近隣の大学生」に設定。「週1・2h〜OK」「テスト期間シフト相談OK」「まかないでスイーツ食べ放題」「20代スタッフ中心」という訴求をタイトルと本文に明記し、笑顔で働くスタッフの写真を追加しました。すると、掲載から2週間で応募が6件入り、2名の採用につながりました。時給は1円も上げていません。

この事例の教訓

応募が来ないと、つい「時給が低いからだ」と考えがちです。しかし多くの場合、止まっているのは時給ではなく「見せ方」です。同じ時給・同じ店でも、原稿と写真を変えるだけで応募は増やせます。時給を触るのは、最後の手段でよいのです。

給与に頼らない求人原稿の作り方

応募が来ない原稿には共通点があります。それは「誰に向けて」「何が魅力か」がぼんやりしていること。逆に言えば、そこを具体的にするだけで原稿は見違えます。ありがちな原稿と、書き換え後の原稿を比べてみましょう。

ありがちな原稿(応募が来ない)

  • タイトル:「ホールスタッフ募集」
  • 条件:「週4日以上・土日勤務できる方」
  • 仕事:「ホール全般」
  • 写真:料理・ドリンクのみ
  • 訴求:特になし(時給だけ)

書き換え後(応募が増える)

  • タイトル:「週1・2h〜/まかない無料/未経験OKのカフェホール」
  • 条件:「週1日・1日2時間からOK/シフト相談可」
  • 仕事:「注文受け・配膳が中心。まずはドリンクから」
  • 写真:笑顔で働くスタッフ・まかない
  • 訴求:シフトの融通・まかない・20代中心の雰囲気

ポイントは、時給をいじらずに「誰に・何を・どう見せるか」を具体化しただけ、という点です。この書き換えは、次の手順で誰でも進められます。

来てほしい人を1人に決める

「近隣の大学生」「ランチ帯の主婦・主夫」など、まず狙う層を1つに絞ります。全員向けの原稿は誰にも刺さりません。

その人に響く強みを言葉にする

シフトの融通・まかない・雰囲気・距離など、時給以外の強みを洗い出し、ターゲットが重視する順に並べます。

タイトルと写真に反映する

強みをタイトルの先頭と冒頭に置き、写真も「その人が働くイメージ」が湧くものへ差し替えます。

応募後の連絡体制を整える

決め手の1位は「応募後すぐの連絡」。当日〜翌日に一次連絡を返す体制をつくり、取りこぼしを防ぎます。

この4ステップは、時給を上げるより先に着手すべき順番です。時給以外にも応募が来ない原因を網羅的に確認したい方は、飲食店のアルバイト求人に応募が来ない!店長目線で考える10の原因もあわせてご覧ください。本記事の「時給」の話を含む10の原因を、店長目線で整理しています。

それでも時給を上げるべきケースと、その前にやること

ここまで「時給は最後の手段」とお伝えしてきましたが、時給を上げるべき明確なケースも存在します。それは、近隣の同業求人と比べて時給が明らかに見劣りしている場合です。相場より100円以上低いまま放置すれば、いくら原稿を工夫しても比較段階で候補から外されてしまいます。

時給を上げる前に確認すべきこと

時給を上げる判断は、必ず近隣相場の確認とセットで行ってください。相場を知らずに上げると「上げすぎ」でコストだけ増えたり、逆に「上げても相場に届いていない」で効果ゼロになったりします。感覚ではなく、同エリア・同業種の求人を実際に見て判断しましょう。

時給を上げる前に、次のチェック項目を確認してみてください。これらが未着手のまま時給だけ上げても、費用対効果は上がりにくくなります。

  • 近隣の同業求人で時給相場を実際に確認したか
  • 「誰に来てほしいか」を1つの層に絞れているか
  • タイトルに歓迎条件(週1〜・未経験・まかない等)が入っているか
  • 写真に「働くスタッフの様子」が写っているか
  • 応募に当日〜翌日で連絡できる体制があるか

これらを整えたうえで、なお相場に対して時給が低いなら、そこで初めて時給アップを検討します。順番を守ることが、限られた予算を最も活かすコツです。

飲食店の時給とアルバイト採用に関するよくある質問

Q時給を上げるかどうかは、何を基準に判断すればいいですか?

A

まず近隣の同業求人で時給相場を確認してください。相場より明らかに低ければ上げる検討価値がありますが、相場並みなら時給以外(シフト・まかない・写真・原稿・連絡体制)の見直しを先に行うほうが費用対効果は高くなります。

Qまかないやシフトの融通は、本当に応募に効きますか?

A

はい。調査でも「シフトの融通」は必須条件の上位に入り、まかないは飲食店ならではの強い訴求です。ただし「まかないあり」とだけ書くのではなく、「人気メニューが無料」など具体的に書くと効果が高まります。

Q掲載して何日応募がなければ見直すべきですか?

A

目安として1〜2週間反応がなければ一度見直します。まず表示回数を確認し、見られていないなら媒体・ターゲットを、見られているのに応募がないなら写真・タイトル・原稿を改善します。時給を動かすのはそのあとで十分です。

Q個人店は大手チェーンに時給で勝てないのですが、採用は無理ですか?

A

時給だけで比べれば不利でも、勝負する土俵を変えれば十分に採用できます。店長との距離の近さ、シフト相談のしやすさ、まかない、アットホームな雰囲気は個人店の強みです。これを刺さる相手に向けて打ち出すことが鍵になります。

時給を100円上げても、アルバイトの応募が増えるとは限りません。時給は最後の手段と考え、まず時給以外の要素を見直すことが、飲食店の採用を成功させる近道です。

  • 時給+100円は5人・1年で約60万円の固定費増。効果が読みにくいわりにコストは確実に増える
  • 調査が示す決め手は時給ではなく「応募後の連絡の速さ・シフトの融通・通いやすさ」。時給以外の9要素を整えるほうが効く
  • 「誰に・何を・どう見せるか」を具体化して原稿を作り替えれば、時給を上げなくても応募は増やせる

時給を上げるべきか迷っている、原稿の何を直せばいいか分からない——そんなときは、飲食・サービス業の採用支援を強みとする求人広告代理店にご相談ください。ネットワークプランニングは、御店の採用ターゲットと予算に合わせて、時給に頼らず応募が集まる媒体選び・原稿改善までまとめてご提案します。

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