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「10店舗でアルバイトを合計100人採用したい。でも、店ごとに人が足りたり足りなかったりバラバラで、本部にはまとまった採用のノウハウがない」——飲食チェーンの本部で採用を任されている方なら、この悩みに強くうなずくのではないでしょうか。個人店の店長が自分の店の求人を出すのとは、規模も、管理の難しさも、意思決定の構造もまったく違います。
結論からお伝えします。飲食チェーンの大量採用は「気合いと根性」ではなく、「採用計画」と「仕組み」で解く問題です。感覚で求人を出し続ける限り、100人という数字にはたどり着けません。
この記事では、東京で20年にわたり飲食・サービス業を中心に求人広告を扱ってきた代理店の視点から、多店舗展開する飲食チェーンならではのアルバイト採用戦略をお伝えします。「本部一括採用と店舗採用の役割分担」「100人を採用計画に分解する方法」「店舗間の応募格差を前提にした媒体・予算の配分」まで、現場で使える形で解説します。
この記事でわかること
- 飲食チェーンの大量採用が個人店の採用と根本的に違う理由
- 「100人」という目標を採用計画に分解する具体的な手順
- 本部一括採用と店舗採用の役割分担のつくり方
- 店舗ごとの応募格差を前提にした媒体・予算の配分方法
- 大量採用を回し続けるための採用管理の仕組み化
飲食チェーンの大量採用は「個人店の採用」の延長線上にない
1店舗の採用がうまくいく方法を10倍に増やせば100人採れる、という発想では必ず行き詰まります。多店舗・大量採用には、個人店にはない「規模の管理」「離職の連続」「本部と現場の分業」という3つの固有の難しさがあるからです。
飲食業界そのものが、採用が最も難しい業界の一つです。まずは足元の市場環境を、数字で正確につかんでおきましょう。
各種調査によると、2025年10月時点で非正社員が「不足」と回答した飲食店は53.4%にのぼります。宿泊・飲食サービス業の有効求人倍率は約3.2倍で推移し、1人の求職者を3つ以上の求人が奪い合う状態です。さらに飲食業の年間離職率は約30〜35%と、全産業平均(約15%)の2倍以上に達します。
ここで重要なのは、大量採用は「一度100人集めて終わり」ではなく、抜けた分を埋め続ける終わりのない活動だという視点です。年間離職率が3割なら、100人の体制を維持するだけでも毎年30人前後の補充が必要になります。個人店なら「1人辞めたら1人採る」で回りますが、10店舗ではこの欠員が同時多発的に起こります。
本部が陥りやすい落とし穴
「今、何人足りないか」だけを見て、その都度慌てて求人を出す後追い採用に陥っているチェーンが非常に多く見られます。これでは常に人手不足に追われ、採用単価も高止まりします。大量採用こそ、離職を織り込んだ計画的な「先回り採用」に切り替える必要があります。
まず「100人」を採用計画に分解する
「100人採りたい」という目標は、そのままでは動けません。「いつ・どの店で・何人」という具体的な数字に分解して初めて、求人の打ち手が決まります。ここが本部担当者の腕の見せどころです。
採用計画は、次の4ステップで組み立てます。頭の中ではなく、必ず一覧表(スプレッドシート)に落とすのがポイントです。
「10店舗で100人」を、各店の営業時間・席数・ピーク帯から逆算します。全店一律ではなく、A店は15人・B店は8人、というように店舗ごとに必要数を出します。
必要人数を維持するための年間採用数は「欠員補充+純増」で計算します。離職率3割なら、100人体制でも年30人前後の補充が前提。純増分(新店・増席)を足して年間目標を確定します。
学生が動く3月・9月、繁忙期前の11月など、採れる時期は決まっています。年間目標を月別に配分し、「いつ何人採る」を先に決めておきます。
採用率(応募→採用)が20%なら、10人採るには50件の応募が必要です。目標採用数から必要応募数を逆算し、それを集めるための媒体・予算を決めます。
この逆算を店舗別に一覧化すると、下のような採用計画表になります。数字が入ることで「どの店に、いつ、どれだけ手を打つか」が一目でわかるようになります。
| 店舗 | 必要人数 | 年間補充数 (離職3割) | 重点時期 | 必要応募数 (採用率20%) |
|---|---|---|---|---|
| 駅前A店 | 15人 | 約5人 | 3月・9月 | 約25件 |
| 郊外B店 | 8人 | 約3人 | 通年 | 約15件 |
| ロードサイドC店 | 12人 | 約4人 | 11月・3月 | 約20件 |
| …(全10店合計) | 100人 | 約30人 | — | 約150件 |
「100人」という漠然とした目標が、「年間約30人の補充を、これらの時期に、これだけの応募を集めて実現する」という具体的な行動計画に変わりました。ここまで分解できれば、あとは打ち手を実行するだけです。
本部一括採用 vs 店舗採用|役割分担の設計
「本部でまとめて採用すべきか、各店の店長に任せるべきか」——これは飲食チェーンの採用で最もよく議論になる論点です。結論を先に言えば、どちらか一方に寄せるのではなく、工程ごとに役割を分けるのが正解です。
まずは、それぞれが得意なこと・苦手なことを整理しましょう。
本部一括採用が得意なこと
- 媒体との交渉・全店分の掲載予算をまとめて管理できる
- 求人原稿の「型」やブランドの見せ方を統一できる
- 応募データを全店横断で集計・分析できる
- 採用単価やコストを全社の固定費として最適化できる
店舗(店長)採用が得意なこと
- その店の立地・客層・シフト事情を反映した微調整ができる
- 応募者にスピーディに連絡・面接できる(辞退防止)
- 実際に一緒に働く店長が採否を判断できる
- 入社初日のフォロー・定着支援まで一気通貫で担える
この一覧からわかるのは、本部と店舗は「対立」する選択肢ではなく、得意分野がきれいに分かれているということです。本部が全店を巻き込む「土台」をつくり、店舗が現場に合わせた「最終判断」を担う。この分業がハマると、大量採用でもスピードと質の両立ができます。
おすすめは「ハイブリッド型」
媒体選定・予算配分・原稿の型づくり・応募データの一元管理は本部が担い、原稿の微調整・面接・採否判断・初日フォローは店舗が担う。この役割分担が、多店舗チェーンの大量採用では最も機能します。本部が現場を無視して丸抱えするのも、店舗に丸投げして放置するのも、どちらも失敗のもとです。
【相談事例】求人原稿を全店で使い回していた10店舗チェーン
ここで、私たちが実際にご相談を受けたケースをご紹介します。首都圏で10店舗を展開する、あるカフェチェーンの本部採用担当者の例です。
本部で作った求人原稿を全10店で同じように掲載しています。駅前の店はすぐ埋まるのに、郊外やロードサイドの店だけ何ヶ月も応募がゼロで、そこだけいつも人手不足なんです。何が違うんでしょうか……。
原稿を拝見すると、時給も、キャッチコピーも、写真も、全店まったく同じ「本部テンプレート」でした。駅前店は立地の強さで応募が来ていただけで、郊外店は「通いにくさ」を打ち消す情報が原稿に一切なかったのです。全店一律の原稿は、実は強い店に助けられて弱い店の問題を覆い隠していました。
原稿の"型"は本部で統一したまま、店舗ごとに差し込む情報を変えましょう。郊外店は「車・バイク通勤OK」「無料駐車場あり」「地元の主婦・学生が活躍中」を前面に。予算も、応募が来る駅前店から苦戦店へ寄せ直します。
ブランドとしての見せ方(ロゴ・トーン・基本フォーマット)は本部で統一したまま、郊外店には通勤手段・駐車場・近隣の働き手層といった「その店ならではの情報」を差し込みました。あわせて、応募が飽和していた駅前店の掲載予算を絞り、苦戦していた郊外2店に予算を寄せ直しました。結果、見直しから約1ヶ月で郊外店の応募が合計12件入り、長く空いていた欠員をようやく埋めることができました。
この事例の教訓
全店一律の原稿・予算は、強い店の応募数が弱い店の不振を覆い隠すため、問題の発見を遅らせます。原稿の型は本部で統一しつつ、店舗ごとの条件・立地・働き手層に合わせて中身を出し分け、予算は苦戦店に寄せる。これが多店舗チェーンの鉄則です。
店舗間の応募格差を前提に、媒体と予算を配分する
同じチェーン・同じ時給でも、駅前店と郊外店では応募数が数倍違うのが当たり前です。この格差を「仕方ない」と放置するのではなく、最初から前提に組み込んで媒体と予算を配分するのが、本部にしかできない仕事です。
なぜ応募数が数倍も違うのか、その原因の深掘りは飲食店のアルバイト求人に応募が来ない!店長目線で考える10の原因で店長目線の10原因として整理しています。ここでは、本部として「格差にどう予算を配分するか」に絞ってお伝えします。
予算配分でありがちな失敗は「全店に同じ額を平等に配る」ことです。応募が来る店にも来ない店にも同額を投じるのは、実は最も非効率な使い方です。次の考え方で、限られた予算を苦戦店に寄せましょう。
- 応募が飽和している店の掲載枠・予算は思い切って絞る
- 浮いた予算を、応募ゼロ・欠員が続く苦戦店に集中投下する
- 店舗タイプ(駅前・郊外・ロードサイド)ごとに相性のよい媒体を変える
- 苦戦店では通勤手段・駐車場・近隣の働き手層を原稿で必ず補足する
- 月次で応募数と採用数を店舗別に見て、翌月の配分を組み替える
店舗タイプと媒体の相性は、おおまかに次のように整理できます。自社の店舗を分類し、タイプに合った媒体を選ぶだけでも、応募の集まり方が変わります。
| 店舗タイプ | 集めたい層 | 相性のよい媒体の方向性 |
|---|---|---|
| 駅前・繁華街店 | 学生・フリーター・Wワーカー | 大手求人サイト・アプリ。通勤利便性を訴求 |
| 郊外・住宅地店 | 地元の主婦・主夫・学生 | 地域密着媒体・折込・店頭。扶養内や短時間を訴求 |
| ロードサイド店 | 車通勤できるフリーター・主婦主夫 | 検索型求人・地域媒体。駐車場・車通勤OKを訴求 |
どの店舗にどの媒体を組み合わせるかは、エリアや競合状況によっても変わります。媒体選びに迷う場合は、複数媒体を横断で扱える求人広告代理店に相談すると、店舗タイプごとに無駄のない組み合わせを提案してもらえます。
チェーンだからこそ効く採用の武器を使い倒す
多店舗チェーンには、個人店には絶対に真似できない採用の武器があります。規模を活かしたこれらの武器を使わないのは、大きな機会損失です。代表的な4つを紹介します。
大手ファミリーレストランチェーンのすかいらーくでは、友人紹介制度に積極的に取り組み、採用する人材の4人に1人がこの制度による採用と言われます。紹介した人・紹介された人の双方に食事券を贈るなど、規模を活かした仕組みで安定的に母集団を確保しています。
チェーンならではの採用の武器は、主に次の4つです。
- 友人紹介(リファラル)制度:既存スタッフのネットワークを全店で活用。定着率も高く、採用単価も抑えられる
- ブランド認知:知名度が応募のハードルを下げる。「知っている店=安心」で応募が集まりやすい
- 研修・マニュアル:未経験者でも安心して働ける教育体制を訴求できる。「初めてでも大丈夫」が武器になる
- 複数店舗・シフトの柔軟さ:近隣店舗との掛け持ちやヘルプ、エリア異動など、1店舗では出せない柔軟な働き方を提示できる
これらは求人原稿の中に必ず盛り込みましょう。特に友人紹介制度は、コストをかけずに質の高い母集団を継続的に生み出せる、大量採用と相性の良い施策です。時給以外の魅力をどう打ち出すかは、時給を100円上げれば応募は来る?アルバイトが集まらない飲食店の現実もあわせてご覧ください。
大量採用を回すなら採用管理を仕組み化する
100人規模の採用を、Excel・電話・店長の記憶だけで回すのは限界があります。応募が来ても対応が遅れれば、求職者はあっという間に他店・他社へ流れてしまいます。飲食のアルバイト採用は、応募後のスピードが採否を分けます。
手作業管理の限界
「応募メールを店長が見落としていた」「誰がどの応募者に連絡したか本部が把握できない」「複数媒体からの応募がバラバラで全体像が見えない」——これらは大量採用の現場で日常的に起こります。応募から連絡までが遅れるほど、面接辞退・音信不通が増えるため、管理の遅れは直接、採用数の減少につながります。
そこで、応募から初日までの流れを標準化し、誰が対応してもスピードが落ちない仕組みをつくります。応募者情報を一元管理する採用管理システム(ATS)の活用も有効です。まずは、次のようなフローを全店共通のルールとして定めましょう。
複数媒体からの応募を1か所に集約し、本部と店舗の双方が同じ画面で状況を見られるようにします。「誰が・どの応募者に・どこまで対応したか」を可視化します。
連絡担当と初動のルール(当日中に一次連絡など)を決めます。返信が早いほど面接につながりやすく、辞退も減ります。
実際に一緒に働く店長が面接し、採否を判断します。日程調整はシステムやチャットで素早く行い、応募者を待たせません。
採用して終わりではなく、初日の受け入れ・研修までを標準化します。離職を減らすことが、次の採用を楽にする最大の投資です。
飲食チェーンのアルバイト採用でやりがちな失敗
大量採用がうまくいかないチェーンには、共通する失敗パターンがあります。仕組みや予算を整える前に、まずこれらをやっていないか点検してください。
飲食チェーンがやりがちな4つの失敗
①全店で同じ原稿・同じ予算を使い回す(弱い店の問題が隠れる)/②現場を無視して本部が採用を丸抱えする(面接・連絡が遅れ辞退が増える)/③応募を放置する(スピード勝負に負ける)/④採用しっぱなしで定着を放置する(離職で採用が永遠に終わらない)。この4つは、規模が大きいほどダメージも大きくなります。
逆に言えば、これらを避けるだけで採用効率は大きく改善します。次のチェックリストで、自社の採用体制を点検してみましょう。
- 「100人」を店舗別・時期別の採用計画に分解できているか
- 本部と店舗の役割分担(土台づくりと最終判断)が明確か
- 原稿の型は統一しつつ、店舗ごとに中身を出し分けているか
- 苦戦店に予算を寄せる配分になっているか
- 友人紹介など、チェーンならではの武器を使えているか
- 応募〜初日までのスピードを担保する仕組みがあるか
なお、応募後の面接辞退や早期離職への対策は、個々の店舗運営とも密接に関わります。応募が来ない原因を店長目線で網羅的に確認したい場合は、親記事の飲食店のアルバイト求人に応募が来ない!店長目線で考える10の原因もあわせて参考にしてください。なお、個人経営の飲食店の採用については個人経営の飲食店は大手チェーンにアルバイト採用で勝てない?で、本記事とは対極の視点から解説しています。
飲食チェーンのアルバイト採用に関するよくある質問
Qアルバイト採用は本部一括と店舗採用、どちらにすべきですか?
どちらか一方ではなく、工程で分けるのがおすすめです。媒体選定・予算配分・原稿の型づくり・応募データの一元管理は本部が、原稿の微調整・面接・採否判断・初日フォローは店舗が担う「ハイブリッド型」が、多店舗の大量採用では最も機能します。
Q10店舗で100人を採るには、どの求人媒体を使えばよいですか?
「全店にこの媒体」という単一の正解はありません。駅前店は大手求人サイト、郊外・ロードサイド店は地域密着媒体や検索型求人、というように店舗タイプで最適な媒体が変わります。まず店舗を分類し、タイプごとに媒体を組み合わせるのが基本です。複数媒体を横断で扱う求人広告代理店に相談すると、無駄のない配分を提案してもらえます。
Q飲食店のアルバイト採用コストの目安はどのくらいですか?
アルバイト1名あたりの採用コストは、一般に約20〜30万円(育成まで含めると30〜50万円との試算も)と言われます。大量採用では総額が大きくなるため、店舗ごとの応募数を見て予算を配分し、友人紹介や定着改善で「採り直し」を減らすことが、コスト最適化の鍵になります。
Q店舗によって応募数が大きく違います。どうすればよいですか?
全店一律の原稿・予算をやめ、苦戦店に予算を寄せ、通勤手段・駐車場・近隣の働き手層といった「その店ならではの情報」を原稿に補足するのが第一歩です。応募が飽和している店の予算を絞り、浮いた分を欠員が続く店に集中投下すると、全体の充足率が上がります。
飲食チェーンのアルバイト採用は、個人店の採用の延長ではありません。「計画」と「仕組み」で解く、本部主導の戦略的な活動です。
- 「100人」は、店舗別・時期別・離職込みの採用計画に分解して初めて動ける。必要応募数まで逆算する
- 本部一括採用か店舗採用かの二択ではなく、本部が土台(媒体・予算・原稿の型・データ管理)、店舗が最終判断(微調整・面接・採否・初日フォロー)を担うハイブリッドが最適
- 店舗間の応募格差を前提に、全店一律をやめて苦戦店に予算を寄せる。友人紹介などチェーンの武器を使い、応募〜初日のスピードを仕組みで担保する
「100人という目標をどう計画に落とせばいいか分からない」「店舗ごとにどの媒体をどれだけ使えばいいか判断できない」——そんなときは、飲食・サービス業の多店舗採用支援を強みとする求人広告代理店にご相談ください。ネットワークプランニングは、飲食チェーンの採用計画づくりから、店舗タイプ別の媒体・予算配分、店舗別に出し分ける求人原稿の設計まで、まとめてご提案します。
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