「明るい女性が活躍中!」「20代中心の元気な職場です」——応募者に魅力を伝えようと書いたこの一文が、実は法律違反になり得ることをご存じでしょうか。求人広告には、書き方以前に「書いてはいけない表現」=法律で制限された表現が数多く存在します。

NG表現をうっかり使ってしまうと、媒体審査で差し戻されて掲載が遅れるだけでなく、行政指導や罰則、企業の信頼低下にもつながりかねません。とはいえ、どこからがNGなのかを正確に把握している採用担当者は多くありません。

この記事では、東京で20年にわたり求人原稿の審査・作成に携わってきた代理店の視点から、求人広告でNGな表現を根拠となる法律ごとに整理し、「NG表現 → なぜNGか → OK言い換え例」の3点セットで一覧化します。2024年の法改正や、医療・美容業に関わる薬機法・景品表示法まで幅広く扱います。

この記事でわかること

  • 求人広告の表現を縛る6つの法律と、NG表現が生む3つのリスク
  • 性別・年齢のNG表現とOK言い換え例(均等法・年齢制限)の一覧
  • 虚偽・誇大表現のNGと、2024年4月改正で追加された明示ルール
  • 医療・美容業で注意したい薬機法・景品表示法のNG表現

なお、本記事は法令の一般的な解説であり、個別の表現が違反にあたるかどうかの最終判断は、利用する媒体の審査基準や管轄の労働局・専門家(社労士・弁護士)への確認をおすすめします。まずは全体像を押さえていきましょう。

求人広告の表現を縛る6つの法律とNG表現が生む3つのリスク

求人広告の表現には、複数の法律が同時に関わっています。「なんとなくダメそう」ではなく、どの法律が何を禁止しているのかを知ると、判断に迷わなくなります。まずは押さえるべき主要な法律を俯瞰しましょう。

求人広告に関わる6つの法律を整理した図解マップ
法律主に規制していること
男女雇用機会均等法募集・採用での性別を理由とした差別(性別限定)
労働施策総合推進法(旧・雇用対策法)募集・採用での年齢制限(原則年齢不問)
労働基準法労働時間・賃金・休日など労働条件の最低基準
職業安定法労働条件の明示義務、虚偽・誇大な募集の禁止
最低賃金法地域別最低賃金を下回る賃金提示の禁止
景品表示法・薬機法誇大表示・優良誤認、医薬品的効能の標ぼう

NG表現が生む3つのリスク

NG表現は、単に「応募が減る」だけの問題ではありません。①媒体審査で差し戻され掲載が遅れる(=採用機会の損失)、②掲載停止や行政指導・是正勧告、③職業安定法違反による罰則(6月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象になり得る)——という段階的なリスクがあります。「知らなかった」では済まされない領域です。

【性別】男女雇用機会均等法でNGな表現とOK言い換え

男女雇用機会均等法は、募集・採用の場面で性別を理由とした制限を原則として禁止しています。「女性歓迎」のように一方の性別だけに呼びかける表現や、性別を連想させる職種名はNGです。ポイントは、限定するのではなく「事実として活躍状況を伝える」書き方に置き換えることです。

求人広告の性別に関するNG表現とOK言い換え例の対応表
NG表現なぜNGかOK言い換え例
女性歓迎/男性のみ一方の性別に限定・優遇する表現女性活躍中/男女ともに歓迎
営業マン募集職種名が特定の性別を想起させる営業スタッフ募集
看護婦・保母性別を含む旧職種名看護師・保育士
主婦歓迎/OL歓迎女性のみへの呼びかけになる主婦(夫)活躍中/オフィスワーク経験者歓迎
ウェイター募集性別を含む呼称ホールスタッフ募集

ただし、業務の性質上どうしても特定の性別が必要な場合には例外が認められます。たとえば俳優・モデルなど芸術・芸能上の必要がある職種、巫女、防犯上の要請がある守衛・警備などです。とはいえ例外は限定的なので、自己判断せず媒体や労働局に確認するのが安全です。

「活躍中」ならなぜOK?

「女性活躍中」は、応募を女性に限定しているのではなく「実際に女性が活躍している職場だ」という事実を伝える表現のため、原則として問題ないとされています。限定(歓迎・のみ)と事実(活躍中)の違いを意識すると、判断しやすくなります。

【年齢】年齢制限が原則禁止|例外事由とOK表現

労働施策総合推進法(旧・雇用対策法)により、募集・採用における年齢制限は原則として禁止されています。「30歳まで」といった上限だけでなく、「若い方歓迎」「20代歓迎」のように年齢層を絞り込む表現も、原則NGと理解しておきましょう。

求人広告の年齢に関するNG表現とOK言い換え例の対応表
NG表現なぜNGかOK言い換え例
30歳までの方/35歳以下年齢による募集の制限年齢不問
若い方歓迎/若干名の若手年齢層を暗に限定する20代の社員が活躍している職場です
20代歓迎特定年代への限定未経験歓迎/第二新卒歓迎
シニア不可/中高年はご遠慮年齢による排除年齢不問・経験者歓迎

年齢制限にはいくつかの例外事由が省令で定められています。代表的なのが「長期勤続によるキャリア形成を図るため、若年者等を期間の定めなく募集・採用する場合」です。ただし例外を使うには、その旨を明示するなど所定の要件を満たす必要があり、単に「若手歓迎」と書けばよいわけではありません。

例外を使うときの注意

年齢制限の例外は、定められた事由と手続きに厳密に沿う必要があります。「うちは例外に当たるはず」と自己判断で年齢を書くのは危険です。該当しそうな場合は、ハローワークや労働局、利用媒体の担当者に事前確認しましょう。

【虚偽・誇大】労基法・職業安定法でNGな表現と2024年改正の明示ルール

性別・年齢と並んで注意したいのが、労働条件を実際より良く見せる虚偽・誇大な表現です。労働基準法は労働時間・賃金・休日などを正しく記載することを、職業安定法は虚偽や誇大な募集情報の禁止と労働条件の明示を求めています。最低賃金法により、地域の最低賃金を下回る時給の提示もできません。

NG表現なぜNGかOK言い換え例
絶対に稼げる/必ず月30万円根拠のない断定・誇大表現頑張り次第で月30万円以上も可能(実績例を併記)
残業なし(実際はある)事実と異なる虚偽記載残業は月平均〇時間程度
アットホームで楽な仕事抽象的で誤解を招く/実態不一致未経験でも始めやすい〇〇の仕事(具体的に)
時給(最低賃金未満の金額)最低賃金法違反地域別最低賃金以上の金額を明示

さらに、2024年4月からは職業安定法施行規則の改正で、募集時に明示すべき労働条件が追加されました。求人原稿を作る担当者は、この新ルールに沿った明示ができているかも確認が必要です。

2024年4月改正職業安定法で追加された明示事項を示した図解
参考

厚生労働省によると、2024年4月から労働者の募集・求人申込みの際に明示すべき事項として、「従事すべき業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)」などが追加されました。募集の段階で明示が求められる点に注意が必要です。(出典:厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」

【業種注意】薬機法・景品表示法にかかる表現

意外と見落とされがちなのが、業種特有の広告規制です。とくに医療・美容・健康分野の企業は、求人広告の「事業紹介」や「仕事内容」の説明文の中で、薬機法や景品表示法に触れる表現をしてしまうことがあります。求人原稿でも広告表現のルールは適用されます。

求人原稿の薬機法・景品表示法に関わる表現をチェックする担当者の写真
NG表現なぜNGかOK言い換え例
シミが消える施術を提供薬機法:医薬品的な効能効果の標ぼう肌のお手入れ・エステ施術を提供
この健康食品で病気が治る薬機法:治療効果の標ぼう健康をサポートする食品の製造・販売
業界No.1/地域最大級(根拠なし)景表法:根拠のない優良誤認表示創業〇年・店舗数〇店(客観的事実を記載)
日本一の技術力景表法:裏付けのない最上級表現〇〇の資格保有者が在籍する技術チーム

ポイントは、効果や優位性を「うたう」のではなく、客観的な事実に置き換えることです。「No.1」なら調査の出典や対象範囲を明示できるか、「治る」なら医薬品的効能を標ぼうしていないか——事実で語れるかどうかが判断の分かれ目になります。

【相談事例】良かれと思った一言で媒体差し戻しになった飲食店

ここで、私たちが実際にご相談を受けたケースを紹介します。悪気なく、むしろ職場の魅力を伝えようとして書いた一文が、複数のNGに該当してしまった例です。

求人原稿が差し戻されて求人広告代理店に相談する飲食店店長のイラスト

「明るい女性が活躍!20代中心の元気な職場」って書いただけなんです。職場の雰囲気を伝えたかっただけなのに、なぜ差し戻されたんでしょう?

お気持ちはよく分かります。しかしこの一文には、「女性」という性別限定(均等法)と「20代中心」という年齢の絞り込み(年齢制限)の二重のNGが含まれていました。魅力を伝えようとした表現が、意図せず応募者を限定する形になっていたのです。

限定ではなく事実で伝えましょう。「スタッフが活躍する活気ある職場です」なら、性別も年齢も限定せずに雰囲気を伝えられますよ。

そこで、コピーを「20〜60代までスタッフが活躍する、活気あるお店です」に修正しました。性別・年齢の限定を外しても職場の魅力は十分に伝わり、無事に掲載され、応募数も落ちませんでした。「限定」を「事実の描写」に変える——これがNG表現を回避する基本の発想です。

この事例の教訓

NG表現の多くは、悪意ではなく「良かれと思って」生まれます。魅力を伝えたいときほど、誰かを限定する言い方になっていないかを一度立ち止まって確認することが大切です。表現そのものの作り方に迷う場合は、アルバイト求人原稿の書き方キャッチコピー例30選もあわせてご覧ください。

出稿前セルフチェックリストと表現の作り方

最後に、原稿を媒体に出す前に確認したいチェックリストをまとめます。これらを一つずつ確認するだけで、代表的なNG表現の多くは防げます。不安な項目があれば、媒体担当者や専門家に相談してから出稿しましょう。

  • 性別を限定・優遇する表現(女性歓迎・営業マン等)になっていないか
  • 年齢を絞る表現(30歳まで・20代歓迎等)になっていないか
  • 「絶対」「必ず」「日本一」など根拠のない断定・誇大がないか
  • 提示する賃金が地域別最低賃金以上か
  • 労働時間・休日・給与などが事実どおりに記載されているか
  • 2024年改正で追加された明示事項(業務・就業場所の変更範囲等)を記載したか
  • 医療・美容など業種特有の効能・優良誤認表現をしていないか

NG表現を避けたうえで、応募が集まる魅力的な表現に仕上げるには「作り方」の知識も欠かせません。やってはいけない表現は本記事、応募が増える表現の作り方は求人原稿の書き方の記事、そのまま使えるタイトル例はキャッチコピー例30選——と役割で使い分けると、コンプライアンスと訴求力を両立できます。

求人広告のNG表現に関するよくある質問

Q「女性活躍中」と書くのはNGですか?

A

「女性活躍中」は、応募を女性に限定するのではなく、実際に女性が活躍している事実を伝える表現のため、原則として問題ないとされています。一方「女性歓迎」「女性のみ」は限定・優遇にあたり原則NGです。限定と事実の描写の違いを意識しましょう。

Q年齢を指定できる例外はありますか?

A

省令で定められた例外事由があり、代表例は「長期勤続によるキャリア形成のため、若年者等を期間の定めなく募集する場合」です。ただし所定の要件・手続きが必要で自己判断は危険なため、ハローワークや労働局に確認することをおすすめします。

QNG表現を使うと媒体審査で必ず落ちますか?

A

多くの求人媒体は法令に基づく審査基準を設けており、性別・年齢の限定や誇大表現は差し戻し・修正依頼の対象になります。媒体ごとに基準の細かさは異なりますが、法令違反となる表現は掲載できないと考えておくのが安全です。

Q表現がNGか不安なときはどこに相談すればいいですか?

A

利用する求人媒体の担当者、管轄のハローワーク・労働局、社会保険労務士や弁護士などが相談先です。複数媒体を扱う求人広告代理店に依頼すれば、原稿作成の段階でNG表現をチェックしながら進められるため、差し戻しの手間を減らせます。

求人広告のNG表現は「なんとなく」ではなく、根拠となる法律から判断すれば迷いません。限定を事実の描写に置き換えるのが基本です。

  • 性別・年齢の限定、虚偽・誇大、最賃未満、業種特有の効能表現がNGの中心
  • 「NG表現→なぜNGか→OK言い換え」で、限定ではなく事実を伝える形に直す
  • 2024年改正の明示事項も確認し、最終判断は媒体審査・行政・専門家に相談する

「この表現は大丈夫だろうか」と迷いながら原稿を作るのは大きな負担です。ネットワークプランニングは、複数媒体の審査基準を熟知した求人広告代理店として、NG表現のチェックから応募が集まる原稿づくりまでまとめてサポートします。求人原稿の作成でお悩みの際は、お気軽にご相談ください。

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