「高校生も採用の対象に入れたいけれど、深夜は働かせられない、労働時間にも制限がある……ルールが難しそうで手を出しにくい」——アルバイト採用を担当されている方から、高校生の募集についてこうしたご相談をよくいただきます。実際、高校生(18歳未満の年少者)には成人とは異なる労働基準法上の保護規定があり、知らずに募集・雇用すると法令違反やトラブルにつながりかねません。

ですが、ルールさえ正しく押さえれば、高校生は素直で伸びしろがあり、地元に定着してくれる貴重な戦力です。大学生ほど各社が奪い合っていない分、募集設計を工夫すれば応募を集めやすい「狙い目」の層でもあります。

この記事では、東京で20年にわたり求人広告を扱ってきた代理店の視点から、高校生アルバイトを募集するときに必ず押さえたい労働基準法上の注意点と、法律を守りながら応募を増やす求人の書き方を、採用担当者目線でワンストップに解説します。

この記事でわかること

  • 高校生は「年少者(18歳未満)」として特別な保護規定がかかること
  • 募集・雇用で必ず守る労働基準法5つの注意点(深夜・労働時間・危険業務・年齢証明・親の同意)
  • 制約の中でも「保護者も学校も安心」と伝えて応募を増やす求人の書き方
  • 高校生アルバイトを募集する主な方法と、自社に合う選び方

高校生アルバイトの募集が今、企業にとって狙い目な理由

「高校生はルールが面倒そう」と敬遠する企業は少なくありません。だからこそ、正しく募集できる企業にとってはチャンスです。アルバイト・パートの採用市場は依然として売り手市場が続き、1人の求職者を複数の企業が奪い合う状況が続いています。大学生・フリーター層は各社が激しく取り合う一方で、高校生は「制限があるから」と募集を避ける企業も多く、相対的に競合が少ない層といえます。

高校生アルバイトを採用するメリットを競合が少ない・素直で伸びる・地元に定着・将来の戦力の4点で示した図解

高校生ならではの強みは、素直で吸収が早く、教育すれば戦力に育つこと、そして自宅や学校の近くで働きたいニーズが強く、地元に定着しやすいことです。学校生活と両立できる職場だと分かれば、卒業まで長く続けてくれるケースも多く、卒業後にそのまま長期スタッフや正社員登用につながることもあります。

参考

アルバイト・パートの採用は売り手市場が続いており、母集団形成(応募候補を集めること)は単一のチャネルだけでは完結しにくいとされています。ターゲットを広げて複数の層にアプローチすることが、採用成功の基本と考えられています。(出典:doda 母集団形成の基本

ただし、そのメリットを活かすには「守るべきルール」を正しく理解しておくことが大前提です。次章から、募集・雇用の前に必ず押さえておきたい法律の基礎を整理していきましょう。

【前提】高校生は何歳から雇える?「年少者」と労働基準法の基礎

高校生を募集する前に、まず「そもそも何歳から、どういう区分で雇えるのか」を押さえておく必要があります。労働基準法では年齢によって働き方のルールが細かく分かれており、高校生の多くは「年少者」という区分に該当します。

中学生(児童)と高校生(年少者)の違い

労働基準法では、満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの子どもを「児童」と呼び、原則として働かせることが禁止されています(例外的に許可を得た軽易な業務などを除く)。つまり中学生や、中学卒業前の年齢の子は原則雇えません。

これに対し、その年度末を過ぎた高校生(おおむね高校1年生の年度以降)は、原則としてアルバイトとして雇用できます。ただし満18歳未満は「年少者」として、次に述べる特別な保護規定の対象になります。

満18歳未満は「年少者」として特別な保護規定がかかる

ポイントは、この区分が「学年」ではなく生年月日(実年齢)を基準にすることです。同じ高校3年生でも、18歳の誕生日を迎えた人は年少者の制限から外れ、まだ17歳の人には制限がかかります。募集時・採用時には、必ず一人ひとりの実年齢を確認しましょう。

区分年齢の目安働かせられるか
児童満15歳に達した年度末まで(中学生等)原則不可(例外あり)
年少者満15歳の年度末〜満18歳未満(多くの高校生)可。ただし特別な保護規定あり
成人(一般)満18歳以上可(年少者の制限は外れる)

高校生アルバイト募集で必ず守る労働基準法5つの注意点

ここが本記事の核心です。高校生(年少者)を募集・雇用する際に、企業が必ず守らなければならない労働基準法上のルールを5つに整理しました。求人原稿を作る段階から、これらの制限を前提にシフトや業務内容を設計しておくことが、後々のトラブルを防ぐコツです。

高校生アルバイトを雇うときに守る5つのルール(深夜禁止・労働時間・危険業務・年齢証明・親の同意)を示した図解

①深夜労働の禁止(午後10時〜午前5時)

労働基準法第61条により、満18歳未満の年少者を、原則として午後10時から午前5時までの深夜に働かせることはできません。これは正社員・アルバイトを問わず適用される、高校生募集で最も重要なルールです。居酒屋の遅番や深夜帯のコンビニ・カラオケなど「22時をまたぐシフト」は、高校生には組めないと考えてください。

募集の段階で「22時までの勤務」であることを明確にし、シフトも21時台までに上がれる形で設計しておくと安心です。なお業種や労働基準監督署の許可などによって例外的な扱いがある場合もありますが、判断に迷うケースは自己判断せず、所轄の労働基準監督署に確認することをおすすめします。

②法定労働時間 1日8時間・週40時間(時間外・休日労働は原則不可)

年少者には、1日8時間・週40時間という法定労働時間を超えて働かせることが原則としてできません。成人であれば36協定を結べば時間外労働(残業)や休日労働をさせられますが、労働基準法第60条により、年少者には原則としてこの時間外・休日労働や変形労働時間制の一部が適用されません。「繁忙期だから今日は10時間」といった調整は高校生には使えない、と覚えておきましょう。

加えて、6時間を超えて働かせる場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は1時間の休憩を与える必要がある点は成人と同じです。学校がある平日は放課後の数時間、休日は日中の時間帯、という無理のないシフト設計が基本になります。

③危険・有害な業務の就業制限

労働基準法第62条により、年少者には危険・有害な業務に就かせることが制限されています。具体例としては、重量物の取り扱い、動力プレスや刃物を扱う危険な機械の操作、ボイラーやクレーンの運転、有害物質やアルコール類を扱う業務などが挙げられます。募集する職種の業務内容に、こうした作業が含まれていないかを事前に確認しておきましょう。

違反には罰則があります

深夜業の禁止(第61条)などの年少者保護規定に違反した場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。「知らなかった」では済まされないため、募集段階からルールを前提にシフト・業務を設計しておくことが重要です。個別の判断に迷う場合は、必ず所轄の労働基準監督署に確認してください。

④年齢証明書(住民票記載事項証明書等)の備え付け

労働基準法第57条により、満18歳未満の年少者を雇う場合は、その年齢を証明する書類を事業場に備え付けておく義務があります。実務上は、氏名と生年月日が記載された「住民票記載事項証明書」などを提出してもらい、保管しておくのが一般的です。採用が決まった段階で、本人(保護者)にこの書類を用意してもらいましょう。

⑤親権者の同意・校則(アルバイト許可)の確認

高校生は未成年であるため、労働契約を結ぶ際には親権者(保護者)の同意を得ておくのが安全です。多くの企業では「保護者同意書」を用意し、署名をもらう運用をしています。さらに、通学先の高校がアルバイトを許可制・届出制にしているケースも多く、学校に無断で働くと、後から発覚して本人が辞めざるを得なくなることもあります。募集・採用時に「学校の許可は取れているか」を必ず確認しておきましょう。

項目高校生(年少者)の扱い
働ける時間帯原則 午前5時〜午後10時(22時以降・早朝は不可)
1日の労働時間原則 8時間以内(時間外・休日労働は原則不可)
週の労働時間原則 40時間以内
就けない業務危険・有害業務(重量物・危険機械・有害物質等)
必要書類年齢証明書(住民票記載事項証明書等)、保護者同意書、学校の許可確認
参考

年少者(満18歳未満)の労働時間・深夜業・危険有害業務の制限や、年齢証明書の備え付け義務については、厚生労働省・各労働局が周知しています。最新かつ正確な取り扱いは、所轄の労働基準監督署や公式資料でご確認ください。(参考:厚生労働省

【相談事例】深夜シフトを組めず戸惑った小売店の募集見直し

ここで、私たちが実際にご相談を受けたケースをご紹介します。「高校生を採りたいけれど、うちのシフトと合わないのでは」と悩んでいた、ある小売店の店長の例です。

高校生アルバイトのシフト設計に悩み求人広告代理店に相談する小売店店長のイラスト

高校生を採りたいんですが、うちは夜が忙しくて。22時以降を任せられないなら戦力にならないのでは……と踏み切れずにいます。どう募集すればいいでしょうか。

お話を伺うと、店長は「フルに入れる人」を前提にシフトを考えていました。しかし高校生に求めるべきは、そこではありません。高校生が活躍できるのは、平日の夕方〜21時台と、土日の日中という、まさに人が足りなくなりやすい時間帯です。むしろ主婦・主夫層が帰宅する夕方以降を高校生に任せれば、シフトの穴をきれいに埋められるのです。

深夜帯は成人スタッフに任せ、高校生には「放課後17〜21時」「土日の日中」の枠を用意しましょう。求人には"高校生歓迎・21時まで・テスト期間は休めます"と明記します。

そこで、募集の枠を「17時〜21時(平日)」「土日の日中」に切り出し、原稿に「高校生歓迎/未経験OK/21時まで/テスト期間はシフト調整可」と明記しました。すると、出稿から2週間で高校生から5件の応募が入り、2名を採用。夕方の手薄な時間が埋まり、既存スタッフの負担も軽くなりました。「フルに入れる1人」ではなく「空いている時間に入れる複数人」を集める発想の転換が成功の鍵でした。

この事例の教訓

高校生は「制限があるから戦力にならない」のではなく、制限を前提に募集枠を設計すれば、手薄な時間帯を埋める貴重な人材になります。高校生募集は、他のターゲット(主婦・大学生・フリーター等)と組み合わせて考えるのが効果的です。採用方法全体を見直したい方は、アルバイト採用方法10選|求人サイト以外の方法も紹介もあわせてご覧いただき、他の採用方法と合わせて検討してみてください。

法律を守りながら応募を増やす高校生向け求人の書き方

ルールを押さえたら、次は「どう募集すれば応募が集まるか」です。高校生の求人では、時給や勤務地といった条件以上に、本人が「初めてでも大丈夫そう」、保護者が「ここなら安心して働かせられる」と感じられるかが応募の決め手になります。ポイントは大きく3つです。

高校生に選ばれる求人の書き方をNG例とOK例で比較したビフォーアフター図解

「保護者も学校も安心」を伝える

高校生のアルバイトは、多くの場合保護者の同意と学校の許可が前提になります。つまり本人だけでなく、その後ろにいる保護者に安心してもらえるかが応募数を左右します。「未経験でも先輩が丁寧に教えます」「明るく安全な職場です」「高校生スタッフが多数活躍中」といった一文を添えるだけで、保護者の不安がやわらぎ、応募のハードルが下がります。

「初バイト・未経験歓迎」「学業優先」を打ち出す

高校生の多くは人生初のアルバイトです。「未経験歓迎」「研修あり」「同世代のスタッフが多数」といった、初バイトの不安を打ち消すメッセージは非常に効果的です。あわせて「テスト期間はシフトを調整できます」「学校行事を優先できます」と明記すれば、学業との両立を心配する本人・保護者の背中を押せます。学業優先の姿勢を見せることは、早期離職の防止にもつながります。

高校生でも入れる勤務時間・シフトを提示する

前章の事例のとおり、高校生が働けるのは基本的に平日の放課後(17〜21時ごろ)と土日の日中です。求人原稿でも「週2日・1日3時間からOK」「放課後だけ」「土日のみ歓迎」など、無理なく入れる働き方を具体的に示しましょう。「フルタイム歓迎」だけを打ち出すと、そもそも入れない高校生は応募をあきらめてしまいます。

  • 「高校生歓迎」を求人タイトル・冒頭に明記する
  • 「未経験OK・研修あり」で初バイトの不安を打ち消す
  • 「21時まで」「テスト期間・学校行事は優先」と学業配慮を書く
  • 「週2日・3時間〜」「放課後・土日のみOK」と入りやすい枠を示す
  • 「保護者の方も安心」と一言添え、保護者の同意を得やすくする

高校生アルバイトを募集する主な方法

最後に、高校生に求人を届ける代表的な方法を整理します。高校生はスマホで仕事を探すのが当たり前の世代ですが、届く経路は1つではありません。複数を組み合わせて母集団を広げるのが基本です。

募集方法特徴高校生への届きやすさ
求人サイト(バイトル等)高校生歓迎で絞り込む学生が多い◎ 短期間でまとまった応募
求人検索エンジン(Indeed等)無料枠〜クリック課金で露出を拡大○ 低コストで広く露出
SNS(Instagram・LINE等)同世代への拡散力が高い○ Z世代・地元の高校生に強い
店頭の貼り紙費用ほぼゼロ・近隣の学生に直接届く○ 通学路・常連の高校生
学校求人(高校の窓口)学校を通じた紹介・許可も同時に△ 手続きに時間、信頼性は高い

特に「高校生歓迎」の条件で探す層が多い求人サイトと、無料〜低コストで広く露出できる求人検索エンジンの組み合わせが基本形です。どの方法をどう組み合わせるかは、採用したい人数・予算・エリアによって変わります。高校生に限らず採用手法の全体像を知りたい方は、アルバイト採用方法10選で他の採用方法と合わせて検討するのがおすすめです。

高校生アルバイトの募集に関するよくある質問

Q高校生アルバイトは何時まで働かせられますか?

A

満18歳未満の年少者は、労働基準法第61条により原則として午後10時(22時)から午前5時までの深夜労働ができません。したがって、22時をまたがない範囲(多くの職場では21時台まで)のシフトで設計するのが基本です。例外的な扱いに迷う場合は、所轄の労働基準監督署にご確認ください。

Q中学生もアルバイトとして雇えますか?

A

満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの「児童」は、原則として労働させることができません。中学生や、中学卒業前の年齢の子は原則雇用できないとお考えください。高校生(多くは年度末を過ぎた15歳以上)は原則雇用可能ですが、18歳未満は年少者としての保護規定がかかります。

Q親の同意書や年齢証明書は必ず必要ですか?

A

労働基準法第57条により、18歳未満を雇う場合は年齢を証明する書類(住民票記載事項証明書等)を事業場に備え付ける義務があります。親権者の同意書は法律上の一律の義務ではありませんが、未成年との契約トラブルを防ぐため取得するのが安全です。あわせて、通学先の校則でアルバイトが許可制になっていないかも確認しましょう。

Q高校生を雇うと扶養や税金はどうなりますか?

A

高校生本人の年収が一定額を超えると、保護者の扶養(税制上の扱い)や本人の所得税に影響する場合があります。年収の基準は制度改正で変わることがあるため、募集時に「働きすぎると扶養に影響する可能性がある」旨を案内し、詳細は税務署や勤務先の顧問税理士など専門機関に確認するのが確実です。

Qテスト期間や学校行事で休みたいと言われたら?

A

学業を優先させる配慮は、高校生アルバイトの定着に直結します。むしろ募集の段階で「テスト期間・学校行事は優先できます」と打ち出すことで、本人・保護者の安心につながり応募も増えます。柔軟にシフト調整できる体制を整えておきましょう。

高校生アルバイトの募集は、年少者保護のルールを正しく守れば、競合が少なく地元に定着してくれる「狙い目」の採用です。

  • 高校生の多くは「年少者(18歳未満)」。深夜業禁止・1日8時間/週40時間・危険業務制限・年齢証明書・親の同意という5点を必ず守る
  • 制限を前提に「放課後17〜21時・土日日中」で募集枠を設計すれば、手薄な時間帯を埋められる
  • 求人には「高校生歓迎・未経験OK・21時まで・テスト期間優先・保護者も安心」を明記して応募と保護者の同意を得やすくする

「高校生を戦力にしたいが、法律もシフトも不安」「どの媒体にどう募集すれば応募が集まるか分からない」——そんなときは、複数媒体を扱う求人広告代理店にご相談ください。ネットワークプランニングは、年少者のルールを踏まえた求人設計から媒体選定まで、御社の採用ターゲットと予算に合わせて最適なプランをご提案します。なお、法令の個別判断については、所轄の労働基準監督署等にもご確認ください。

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